人格障害と犯罪
- 作者: 片田珠美
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/05/01
- メディア: 単行本
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今までに無かった犯罪が起こると人は、いろんなことを言う。
それはおそらく、説明できない事実は恐ろしいからではないのか。
筆者は、社会のせい、病のせい「だけ」ではないという。
確かにそうだろう。そんなことは言われなくても自分程度でも分かっている。
なんとなれば。
社会のせいならば、例えばもう暴動が起こったってしょうがないような状況なのだし。病気のせいなら、その病の人間の多くがなんらかの犯罪を起こすのだろうから。
○○病だから犯罪者、とか社会が悪いんだ、とかいう端的かつ非科学的かつシンプルな頭の悪い物言いは、無責任な発言、雑談、井戸端会議レベルでは許されるのだろうけれどね。
筆者は精神分析という立場から問題を論じる。
予防法は最終章に書かれているので、子どもに関わる人は読んでおいた方がいいかもしれない。実際学校の教師などでも、ダメな育て方をする人は実在するもんだ。お前のソノやり方は、無差別大量殺人者を作るんだぜと指摘してやりたい気分だ。
同じような環境であっても、犯罪者になるかいなかは。
家庭での育てられ方にキイがあるのはこれも自分程度でもわかる。
歪みきってしまった人格を、社会に適応できるようにするのは並大抵のことではないのだろう。しかしながら、家庭での育てられ方を誰がどうコントロールするのか。なんだよね。
厳格すぎる親、暴力で子どもを支配する親、過保護、放任。いわば児童虐待的関わりの被害者でもある子どもが長じて人格をゆがめられ、加害者になる。しかしそれを「親の責任」だけにしてしまうのも、問題を解決する方向へ導いているとは思えない。
昨夜の「刑事の現場」2での犯人がまさに、児童虐待の被害者で、いじめられ、ダメな人生を歩み、犯罪者になったのは、親のせい、周りの人間のせいだと思い込んでいるのだった。
反社会的な人格を持つにいたるまでの経緯は哀れだけれど。といって犯罪の被害者にされるのはたまらないわけで。
人格矯正プログラムでも真剣に考える、と同時に、子どもの育ちをサポートすることをそれこそ社会全体で考える。というのが大事なのかな。素人のタワゴトなのだけどね。
犯罪とまでは至らないけれど、プチ人格障害チックな方々にかなり悩まされている自分などは、そう思う。